失オタ・ログ

ダメになってしまったオタクの書き残し

禁じられた言葉

 

 アニメ『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』に「ブロックワード」というのが出てきます。


 作中では軍隊が、薬物や洗脳・特殊訓練などで強力な戦闘能力を持たせた少年兵「エクステンデッド」を戦争に使います。

 エクステンデッドは非常に強いのですが、精神的に弱い面があり、その戦闘力も相まって一度暴走されたら、通常の兵士では取り押さえられません。自軍にも損害をもたらす恐れがあります。

 その為にブロックワードがあるのです。


 エクステンデッドに対して暗示づけされた言葉、ごく普通の単語なのですが、を告げると彼らは((((;゚Д゚))))ガクガクブルブルとなって動けなくなったり、 ・゚・(つД`)・゚・ ウワァァァンと泣きながら帰ろうとしたりと、恐怖に怯えて殆ど戦える状態ではなくなります。
 これにより制御が可能となるわけです。

 

 そんなアニメの中の事象であるブロックワードですが、ウツになった僕にはこれと似たような症状が現れたのです。

 ある言葉を聞いたり見たりすると、それだけで苦痛に感じるほどのストレスを受けるようになりました。

 ウツの初期の頃のそれは、「年齢」や「時間」などに関連するワ-ドで、これらを目や耳にすると、それだけで精神に痛みを味わってしまうのでした。


 テレビでもネットでも大抵の情報には「〇年前の~」や「○○歳で~」などの、年月や人の年に関することが含まれているもので、それを見るたびにエクステンデッドほどではなくても、思わず顔をしかめるぐらいの苦痛を内心に感じていたのでした。

 

 それと関連したもので、ウツの最もヒドイときにおきたのが、「連想」です。ネガティブな。


 一般的にウツの時は考えが悲観的になりやすいので、なるべく前向きに物事を捉えるようにしたり、もしくは考え事自体を余りしないようにする、というのがよく云われる養生の仕方ですが。


 ウツの「連想」の前にはそんなちょこざいな抵抗、通じません。
 なにせ見たものが即、ネガティブに変換されるのですから。


 可愛い2匹の子猫がじゃれ合っている光景を眺めただけで、こんなに仲が良くても死ぬときは老いぼれて独りぼっちになるんだ・・・ という発想が浮かびます。

 これは正に連想ゲームのようで、対象を見たり思い浮かべた次の瞬間に、もうネガティブな考えというか光景が頭に湧きあがってしまうのでした。
 それはもう条件反射みたいになってしまって、明るく考えようと思ってても、物を見たら何か思う間もなく、そのまま悲しい考えに繋がってしまいます。

 

 そしてこの連想を引き起こすのは、特に自分が好きだったものを見た時なのです。ウツになる前は心から好きで生きがいにしていた物たち。

 

 よってアニメや特撮などは、大好きだっただけにこれが酷くなります。
 見続けてるだけで連想がどんどん進み、絶望的な気持ちになっていくのです。
 明るい子供番組を見ている時ですらそうなのです…


 つい数日前まではこんなことなかったのに……

 

 そしてウツの恐ろしいところは、このネガティブな精神状態こそが正常だと思えてくることです。
 むしろこの絶望しかない世界で、普通に生きている人々の方が、何にも考えていない頭空っぽの存在なのではないか。

 しまいにはこのような思いすら、頭をよぎるようになってきます。(これが行き過ぎると被害妄想に繋がっていくのでしょう)

 

 今までのライフスタイルというかライフワークだった、アニメなどを観れなくなり、僕はオタクとしてますます辛い状況に陥っていくのでした。